避妊に失敗をした可能性がある時に摂取する事で妊娠の阻害率を高めるアフターピル。そんなアフターピルは、避妊失敗から72時間以内に摂取する必要があると言われています。
しかし、何故アフターピルは服用の制限時間が72時間と言われているのでしょう。それは、卵子と精子の特徴、受精から着床の仕組みに理由があるからなのです。もっと深くこの仕組みについて知る事によって、アフターピルの制限時間が72時間と言われている理由が分かるでしょう。
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卵子を知る
卵子は毎月1個、卵巣の外に排出されます。これを排卵と呼びます。こうして排卵をされた卵子は、卵管膨大部で精子が来るのを待つのです。ただ、卵子もいつまでも精子を待ち続ける事が出来る訳ではありません。卵子の寿命は、なんと排卵されてからたったの24時間しかないのです。
ということは、24時間以内に精子が卵子の元まで辿り着けば受精する事が出来るのでしょうか?いいえ、確かに寿命は24時間ですが、受精する事が可能な時間はもっと短いのです。
卵子が受精することの出来る時間は、24時間のうちその1/3程度の8時間前後だと言われています。ただこの受精可能時間も個人差があり、卵子が老化している程この時間は短くなります。こうした卵子の寿命や受精可能時間は、排卵から生理が始まるまでの期間とは異なるものだと覚えておきましょう。
精子の活動から受精まで
また、アフターピルの避妊までの制限時間が72時間の理由を知るには、精子の特徴も知っておく必要があります。卵子と違って、精子の平均寿命は2~3日です。稀に1週間程度生存する精子もいますが、多くは3日程度で寿命が終わりを迎えます。精子が体内に放出されると、卵子を目指して一斉に泳ぎ出すのです。
しかし、この精子が卵管にまでたどり着く頃には、スタート時点では数千万以上もの精子が1000個にも満たないまでに減少してしまいます。そして最終的には、その1/10以下にも満たない精子の中からたった一つのみが、卵子と受精する事が出来る仕組みになっているんですね。精子が卵子にたどり着くまでの時間は、早ければ1時間程度だそうです。もし、排卵が既に行われており卵子が先に到着していて受精可能時間内ならば、そのまま受精する事が可能になります。
まだ排卵されていない場合は、精子の寿命が続く限り卵子を待つ事になります。このように受精する為には、卵子の受精可能時間内に寿命が続いている精子が卵子の中に侵入する必要があるのです。つまり避妊に失敗してから平均して3日間は、受精をする可能性があるという事ですね。
受精卵と着床
実は精子と卵子が出会い受精卵となっても、妊娠が成立するわけではありません。一番重要となるのが、受精卵が子宮内膜に着床するかどうかなのです。受精卵は子宮まで3~5日間程かけて移動し、そこから子宮内膜へと着床します。しかし、子宮へとたどり着いても直ぐに着床する訳ではありません。受精してからこの着床までの期間は、個人差もありますが凡そ1週間です。
受精から約1週間が経つと、受精卵は絨毛を伸ばし子宮内膜に根を張って内部へと潜り込むのです。こうして子宮の奥へと着床する事で、はじめて妊娠が成立したと言えます。
避妊できる高い確率がある72時間
アフターピルには様々な作用があり妊娠を阻害します。例えば、排卵を遅らせたり受精をしにくくするといった効果です。その中でも着床を防ぐという大きな役割があります。これは人工的に生理を起こす事により着床を防ぐことで、この時の出血を消退出血と言います。
通常この消退出血は直ぐに起きるものではなく最短で3日、多くが1週間以内に起こると言われています。ですからもし、避妊に失敗をしてある意味タイミングが良く受精してしまったとしても72時間以内にアフターピルを摂取すれば着床するまでに消退出血を起こす事が可能です。受精から着床までの期間は、約1週間ですから72時間以内に摂取すれば避妊確率はかなり高いと言えるでしょう。
実際に、制限時間内に摂取した場合は、98%~95%の方は妊娠を阻害する事に成功します。
72時間を超えても避妊率が0(ゼロ)になるわけでは無い
卵子の寿命と受精可能時間、そして精子の寿命や着床までの期間、そしてアフターピルが作用して消退出血が起きるまでにかかる時間を考えると72時間以内に服用すると避妊効果が高い事になります。もちろん出来るだけもっと早くに服用すれば、それだけ確率は高くなり安心する事が出来るでしょう。ですが精子と卵子の特徴、受精から着床までの仕組みとピルの特徴からすると120時間以内の服用でもある程度の効果があるとも言われています。
ただし、避妊に失敗した場合は72時間という制限時間を厳守することが鉄則となります。排卵した日によっては、この3日以内というのがギリギリの時間となる場合もあるからです。120時間というのは、効果が0%になる訳ではない期間という事で、制限時間を守らなければ妊娠阻害出来る確率は確実に低下してしまいます。この事を念頭においた上でアフターピルを使用するようにしましょう。