想定外に妊娠してしまうかもしれない状況になった時、頼れるのがアフターピルです。性行為後でも、なるべく早く服用することで高い避妊効果があります。しかし、緊急避妊薬とも呼ばれているように、即効性を求められる薬なので急激に体内のホルモンバランスを変化させる働きを持っています。
そうした高い避妊効果を得るためのホルモンバランスの変化が副作用として、さまざまな症状を引き起こしてしまう場合もあります。その中でも症状があらわれやすい頭痛について、アフターピルを飲むことで身体に何が起こっているのか、頭痛を引き起こしやすくするその理由について学んでいきたいと思います。
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頭痛の原因になることとは
女性は生理期間に頭痛が現れる人も少なくないのではないでしょうか。その期間とは月経開始2日前~開始後3日目までで、その間に頭痛を発症する人が多いとされています。
これはエストロゲンの分泌量が減少している期間と同時期で、排卵前も同じようにエストロゲンが減少するので頭痛を起こしやすいとされています。そして、それと同時にセロトニンという脳内物質の分泌も減少します。
このセロトニンという物質が、普段は脳内の血管を収縮させる働きを持っています。しかし、そのセロトニンの量が減少することで血管が拡張されて一気に血液が流れ込みます。これが頭痛の原因の一つとされています。また、一気に流れ込んだ血液を末端まで届けようとして血管を収縮させる働きも起こります。そうして、血管を細くすることでホースを利用して遠くに水をまく原理と同じように働くのです。
これが、血管の内壁と血液の勢いで抵抗や摩擦が増すので活性酸素の発生とともに頭痛が引き起こされることが多いのです。これらのことから分かるようにエストロゲンは頭痛に深く関わっています。
アフターピルでエストロゲンは増えないの?
女性ホルモンが多く含まれているアフターピルを飲むことで、エストロゲンが増えることになるんじゃないの、と疑問に思う人もいるかと思います。アフターピルはエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが含まれているものです。
しかし、主成分はプロゲステロンという後者の女性ホルモンでそれが体内に一気に増えることで避妊効果を得られる薬なのです。
ただ、エストロゲンも含まれている事で排卵や着床抑制効果が増す上に、プロゲステロンが一気に体内に増えても、全体的なバランスを保ちながらホルモン量を増やすことになります。服用した時のホルモンバランスの状態には個人差もあるので、このように避妊効果を高めながらも副作用は少しでも抑えられるように工夫がされているのです。
普段と違うホルモンバランスの変化で起こること
アフターピルを飲むことで、体内にプロゲステロンが大量に吸収されるので妊娠したと錯覚を起こします。しかし、実際は妊娠していないことからプロゲステロンの分泌が低下します。そして、強制的に生理を引き起こすのです。
この働きのなかで、エストロゲンの減少とともにプロゲステロンの分泌が増加するという身体の仕組みがあります。このメカニズムによって、普段とは全く異なるホルモンバランスになることからセロトニンの分泌量も増えることが考えられます。その結果、血管の収縮を起こしセロトニンが減少したとことで、血管の拡張が起きます。これによる血液と血管の内壁との摩擦・抵抗が原因で頭痛を引き起こしやすくなります。
頭痛が悪化することで吐き気やめまいを引き起こすことも
もちろん頭痛の原因全てにエストロゲンが関わっていると言う訳ではありません。そのほかにも様々な理由があります。それらが重なったりして頭痛の症状が悪化してしまうことで吐き気や嘔吐、めまいなどを引き起こしてしまう可能性もあります。
それは頭痛を引き起こす神経と嘔吐反射中枢の場所が近いことが原因のひとつにあるといます。そして、神経が脳に痛みを伝達する際に嘔吐反射中枢まで刺激してしまうことがあるので、頭痛から吐き気や嘔吐を引き起こすのです。
また、めまいが頭痛によって引き起こされる危険性については、原因ははっきりしていませんが脳内の血流に乱れが生じると、めまいを起こすことがあります。
頭痛を含む副作用を引き起こす原因には
これらのことから、生理期間に頭痛を引き起こす人もそうでない人もホルモンバランスが乱れることによってセロトニンがより多く分泌されてしまい、頭痛を引き起こしやすくなるのです。
また、頭痛はアフターピルのそのほかの副作用にもある吐き気や嘔吐、めまいなども発症させる危険性もあります。そのため、症状が現れた場合には体調の変化に気をつけましょう。アフターピルの効き目がある1日~2日間程度であれば問題無いですが、副作用の症状があまりに酷かったり、長い期間症状が続く場合には我慢せずに病院を受診するようにしましょう。副作用をしっかり理解した上で、アフターピルを上手く使うことが大切です。